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時代劇考

今回は「時代劇」について。
もともとは日本独特のジャンル、時代劇。“サムライ”、“ニンジャ”など昔から外国受けがよいジャンルでもある。最近はゲームの影響もあって、武将モノのアニメーションが女性に大人気だ。
小説、映画、マンガ、アニメーション…日本にいれば時代劇を楽しむ方法はいくつかある。

イチオシは 小説。司馬遼太郎、池波正太郎、藤沢周平、文字だけの世界であるのに、細かな感情や空気まで伝わる描写、歴史への深い造詣、書上げられたダイナミックな激動の時代――、その世界に一気に引き込まれる。
ところが、このすばらしき時代小説を実写で映像化にするのは、案外難しい。叙情的なものは日本映画の得意とするところだが、秘剣や隠密など娯楽時代劇の要素が入ってしまうと、途端に映像の安っぽさに興ざめしてしまう。「今のシーン…ない方がよかったかも」と、何だか悲しくなるのだ。

一方で、マンガやアニメーションの表現はもっと自由だ。
そもそも日本マンガやアニメーションの時代劇は、もはやファンタジー作品であり、SFだと思っている。
木の枝を移動するニンジャであったり(絶対地上を走ったほうが速いと思われ)、空中でカメハメハを放つサムライであったり、ほぼガンダムな戦国最強武将であったり…。マンガ、アニメーションの娯楽性、ダイナミズムを活かすため細かなことはさて置かれている。

時代劇マンガはSF

この大らかで読み手の楽しみを意識した手法は、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」にも通じる。日本に江戸時代から続くエンターテイメントの精神だ。「細かいことはさて置く」そのおかげもあってか、時代劇というジャンルは海外のマンガファン・アニメファンにも受け入れられ、「アフロサムライ」のような海外発信の時代劇作品も登場した。

とはいえ、まじめに歴史を検証し、しっかりと物語を描き上げている作家もいる。岩明 均の「雪の峠」などは評価が高い。これらは残念ながら、描き手が多くないし、どうしてもマイナー分野になってしまっている。
描き手が敬遠する理由に、時代考証が難しいほかにビジュアル的な問題もあるだろう。
リアルな時代劇に避けては通れぬ大問題。それが月代(サカヤキ)。江戸時代の紳士のたしなみ、センター剃り込みである。元々は兜をかぶった際、頭頂部が蒸れるので剃ったと言われているが、真実はどうなのか…。
(私の予想では、兜で蒸れた→禿げた→「もういいか」と思ったオジサマが面倒なので剃った→周りの若者も気を使って剃った→日本全国にその気遣いが広がる)
実際マンガ描きにこの月代は鬼門だ。日本マンガに良くある童顔には、この月代はまず似合わないし、髪型がほぼ統一されるため、描き分けが難しい。「何だそんなこと。」と思うかもしれないが、描き手はこれに結構悩まされるのだ。

月代の呪い

私ごとながら、今年は時代劇マンガに挑戦する予定。残念ながら、明治にずれ込んでいるので、月代と真っ向勝負はしない(多少は描かねばならないけど)。いつか日本のマンガやアニメーションでも司馬遼太郎や池波正太郎ほど、深く、ダイナミックな本当の時代劇作品を見てみたいと思う。さらにこういった作品が世界に受け入れられるほど成長していきますように。